ピアノはいつから始めるべき?
Q. ピアノは早くから始めたほうがいいと聞きますが、いつから始めたらいいでしょうか?
A.私が音楽講師をしていると話すと、保護者の方に一番よく聞かれる質問です。
ピアノやバイオリンなど、楽器を始めるタイミングは、子供から大人までいつでも可能ですし、いつからでもしっかり練習すればとてもうまく弾けるようになります。
楽器を弾く技術は、実は大きくなってからのほうが早く伸びます。2歳の子供にドレミファソラシドの音階を教えることはかなり困難ですが、1年生の子供は1回のレッスンでできます。
なので、ピアノを弾ければいい、そしてお金もあまりかけたくないのであれば、小学生からでも十分です。
しかし、一般的に言う「絶対音感」というものは、小学生からでは遅いと言われているのも事実です。絶対音感とは何でしょう。「ド」の音を聞いて、「ド」だと分かる、メロディーを聞いてドレミで歌える、それが一般的に言う「絶対音感」です。絶対音感をつけるメリットは多いです。例えば、好きな曲があったときに、楽譜を買わなくても、ピアノやリコーダーなどでメロディを弾くことができます。更に、併せて音楽理論をちゃんと勉強すれば、小学校の3、4年生でも作曲や編曲も自在にできるようになるでしょう。また、音楽関係の学校に進む場合、避けて通れない「聴音」。これは音を当てるテストです。これは、絶対音感があったほうが明らかに有利です。音楽家になる場合、持っていたほうが絶対にお得な感覚、それが「絶対音感」です。
ただし、音楽家にならない人が、絶対音感を持つことには、それほどこだわらないほうがよいと私は思います。音楽に深く関わらない人は、絶対音感のメリットが少ないからです。
では、音楽家になりたい(させたい)けど、もう絶対音感はつかないのかしら・・・そう考える方もいるはずです。
ご心配なく、努力でカバー可能です。絶対音感はむずかしくても、「相対音感」がつきます。相対音感は、ぴったり分からなくても、「ド」を教えてもらえばそこから他の音が分かります。「聴音」のテストでは、必ず基本の音を鳴らしてもらえますので、そこから感覚を研ぎ澄ませれば問題はありません。
私が教室で保護者の人に答えているのはこうです。
お子様に「ピアノを習わせる=音楽と一生仲良くさせたい」とすでに決めているのであれば、いつからでも音楽を習わせてあげてください。
ただし、幼少(年中くらいまで)のころにピアノなどの「楽器」の技術を磨くことにこだわる必要はありません。ソルフェージュ(音楽理論)や想像力を磨くことが、幼少のころには一番大切です。音楽を聴いてイメージを膨らませる、リズム感をつける、音を聞き取る、コード進行の感覚を身につける。これらを小さい頃に行っている子供と、そうでない子供は小学生に入ってからの伸びが違います。
なので、楽器を習う場合、ソルフェージュを一緒に行ってくれる先生を選んであげる、というのも保護者の方ができる、大切なことです。
しかし、小さい頃から音楽に触れてきた子供は、「音楽」を感覚で分かっているのです。その子の中にある「引き出し」には、たくさんの音楽と経験が詰まっているんですから。その子の中には、ショパンの音楽があり、バッハの音楽がある。そよ風のイメージ、冒険のイメージ、その子独自のイメージは、どんどん頭の中の「引き出し」に蓄積されていくのです。
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